4話 品物

施設内は、いまだ機械兵が多い。だが、4部隊のうち2部隊が壊滅していた。


ある通路に、4体の機械兵がいる。そのうちの1体が、突如として吹っ飛ぶ。

残る3体が振り返る。その視界には、拳。

「どおりゃああああああ!」

咆哮一発、ビットのはめた鋼鉄のガントレットが1体の頭部をぶち抜く。

勢いを足してもう1体の胴体にストレートを打ち込む。

死角から発砲される弾丸をガントレットで弾き、残る1体にアッパーカット、続けてかかと落とし、とどめの

アームハンマーが打ち込まれた。

「このオレをなめんなよ!ったく…」

誰もいない通路に、ビットの声が響いた。


デルタは、逃げていた。ばらまかれる弾丸を背に。

数分前ーーーーー

依頼品を探すべく、ひたすら奥にすすんでいたデルタは、足元のなにかをふんだ。サイレンが鳴る。

「へっ?」

急停止。

前方の床が開き、なにかがあがってくる。

ーーーすなわち、10機の機械兵。

すべての機体には、ガトリング砲と粒子拡散装置がとりつけられている。

「うそ…でしょ?」

本当だといわんばかりに、一斉にガトリングを…

そして現在にいたる。

(くそ、そろそろ…限界だ……)

性変換の能力と高い運動神経以外は一般人である。へばるのもとうぜんである。

(あの、粒子拡散バリアがなければ…!……ん?)

デルタの頭に、ひとつの光がさす。

「………なんだ、そういうことか…!」


ドゴォン


ロックのかかった扉は、ビットの1撃にあえなくかっ飛ばされた。

内部はもぬけの空。

そして、依頼の品。

「ビンゴだな」

幸い、警報装置の類はない。

「へへっ、不用心だなあ。ケースにもいれずに…」

独り言をいいながら、それに手を伸ばし、つかんだ。

「よし、あとはデルタにしらせてとっとと…」

そこで、ビットの意識は途切れた。

そしてーーーーーー



施設内外に、獣の咆哮が響いた。



  • 最終更新:2017-09-10 03:06:47

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